hp200LX 補修例:完全に分離したヒンジ部 修理例:その2 hp200LX Repair: Hinge divided into complete.) |
ここでは、液晶右側ヒンジ分離時の最新の修理方法を示します。 ヒンジの上部が折れ(首折れ)て、そのままにしておけば分離に至ります。 分離した液晶部 それは、ヒンジが硬すぎて、開閉に力を要するからです。 硬いので、最初に上の方にヒビ(Crack)が入るわけでして、 まず上側が割れます。 そのままにしておけば、手前側が割れて、分離に至ります。 本体側に残ったヒンジ部の回転力を計ると、1kg(1000g)近くあります。 従いまして、首折れの原因は硬すぎるヒンジを使い続けることにあります。 (新品でヒンジの硬すぎる200LXがあるときは、使用(開閉)せずに、ヒンジ力を調整すべきです。) |
今では、ヒンジの調整の加減がわかってまいりましたので、たとえ分離に至ったものでも、強度のある補修と、最良のヒンジ力とを併せもたせることにより、長期の使用に耐える修理ができていると思っております。 分離したヒンジ部の修理過程 |
枠を分解して、分離した部品を確認する。 |
(1)液晶上蓋側のヒンジ補修 割れたスプリング保持部に、ピアノ線用の溝を入れる。 補修では、プラリペアを使いますが、芯材を入れないと、硬化後に簡単に割れてしまいます。 心材(芯材)はピアノ線に限らず、グラスファイバーや炭素(カーボン)繊維でも良いと思います。 要するに、補修部が複合材(コンポジット)になることが粘りを得るために必要です。 スプリング保持部を、上蓋に仮付けし、上蓋側につながる溝を付ける。 角はカッターで削り、表面積を増やす。 次に、溝を入れた破片を、上蓋の本来の位置に仮付けします。 仮接着には、アクリルサンデーが役にたちます。 溝に、0.3mm径のピアノ線をはわせる。 溝には、ピアノ線を這(は)せます。 当然、スプリング保持部から、曲がりを経て、上蓋面につながる一本の線(ワイヤ)として、微妙に曲げます。(コンポジット芯材となる。) プラリペア粉を振りかけ、硬化液を滴下する。 ワイヤを上蓋の厚みの中に埋め込むように、プラリペア粉(アクリルパウダー)を降(ふ)りかけ、その後硬化液(混合用リキッド:メチルメタクリレート)を滴下します。 補修後の上蓋(うわぶた)部 補修後の上蓋部は、綺麗に平面に仕上がっています。 (2)液晶表示側(枠部)のヒンジ補修 (1)大胆にトリム(不要部切断)する。 (2) スプリング保持部には、ピアノ線を入れる溝を掘る。 (3) 仮付け(仮接着)する。 (4)ワイヤ(ピアノ線)を置く。 (5)プラリペアで固める。 (6)反対(逆)側も補強するために、彫刻刀で溝を入れる。 (7)プラリペア粉をふりかける。 (8)硬化液を垂らす。 ワイヤ(ピアノ線)の挿入状況を、黄色の線で示す。 補強のために入れるピアノ線は、長めに入れています。 これは、部分的な硬化を避ける手法です。 プラリペアの十分な硬化のために、一日動かさないようにします。 (3)ヒンジ調整 ヒンジを組んだ後に、回転軸に潤滑剤を塗布します。 潤滑剤(フッソ系剥離剤)の塗布量は、きわめて微量です。 写真のような、細い時計ドライバの先に付着した潤滑剤を、軸にわずかに接触させるだけで十分です。 潤滑剤の塗布(供給)量が、少しでも多いと、軸はスカスカ(軽い回転)になってしまい、首倒れ(液晶が勝手に倒れてしまい保持できない)の状態になってしまいます。 そうなった(スカスカ)ときには、軸を抜いて、内部と軸とに付着した潤滑剤をアクリルサンデーを付けた綿棒で拭(ふ)き取ります。 この調整(ヒンジ保持力調整)は、首折れを再発させないために極めて重要です。 最終的に、分離したヒンジは綺麗につながる。 最終組み上げ状況 綺麗に組み上がります。 但し、一度でも瞬間接着剤で補修した場合には、このように綺麗にはゆきません。 (以下、瞬間接着剤で補修してあった200LXを補修した別の例) 瞬間接着剤での補修強度(耐久性)は、プラリペアに比べ相当落ちます。 瞬間接着剤を取り除く 瞬間接着剤を使用した補修を、再度補修するには、一旦瞬間接着剤をすべて取り去ります。 そうしないと、プラリペアが効かない(接着せず)ため、強度が得られません。 しかし、プラスティックの分子にまで影響するのでしょう、瞬間接着剤を完全に取り去ることができません。(アクリルサンデーで溶けない状態になる。) このため、瞬間接着剤を一度使用したヒンジ割れの場合、上面にも溝を掘り、上側からもワイヤを入れて補強します。 瞬間接着剤による補修の場合でも、芯材を適度に入れることで、強度を相当に上げることができるかと思います。 (瞬間接着材を絶対的に否定するものではありません。) 2010.06.07 |
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