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 hp200LX 故障例:電池食いの原因が、スピーカ側の短絡
(hp200LX trouble : Abnormal battery consumption caused by speaker line short.)

 電池食いの原因が、意外なところにあった例です。
 
 電池が二日で無くなってしまうということで、予備機の基板と交換したが、同様な症状だということで送付されてきました。

 基板を交換しても、電池の異常な消耗が変わらないという経験はありません。

 電池を外して、電流計を付けると、OFFにもかかわらず電流が14.7[mA]ミリアンペアあります。
 異常値

 これは、確かに異常な値です。

 
 正常電流

 しかし、カバー(底蓋)を開けて再度測定すると、今度は電流が0.2[mA]ミリアンペアであり、2MBのメモリを搭載した個体の正常な値です。
 
  浮いていたスピーカ 
 底蓋の中を詳細に点検してみましたが、スピーカ(発音体)に、浮きがある程度で、電池食いの原因になるとは思えません。

 アルミのシールドが、どこかに短絡するのだろうかと、点検してみたものの、異常ありません。

 だいたい、基板を交換しても同じということは、非常に再現性が高いということであり、わずかな接触で異常値が出る場合とは状況が異なります。


 スピーカラインが短絡
 まさかとは思いましたが、スピーカラインの抵抗値を測定してみたところ、10[Ω]オームしかありません。
 このスピーカは、いわゆるセラミックスピーカであり、巻き線は無いので、通常は高抵抗のはずです。
 10オームの値は異常です。
 しかし、それがどう電池食いに結びつくのか合点がゆきません。
 
 異常電流
 そこで、基板側のスピーカ接点をピンセットで短絡させてみたところ、15.1[mA]という異常値が再現できました。
 
 これでスピーカ側の短絡が電池食い(異常な電池の消耗)の原因であることが確定しました

 スピーカを外す 
 しかし、スピーカが短絡していた経験もありません。
 どんな具合だろうかと、スピーカを外します。
 (スピーカを止めるリベット(止め鋲)の頭部(溶かした部分)は、マイナスドライバで簡単に取れます。)
 スプリングが短絡状態
 スピーカを開くと、短絡の原因がすぐに判明しました。

 セラミックスピーカへの給電端であるスプリング同士がショートしていたためでした。
 (スピーカが浮いている状態で、内部で動いてしまったのでしょう。)
 
 短絡状態 正常な位置に戻す
 給電端のスプリングは、本来突起部に挿入されていて、動かないようになっています。
 これを、元の突起部に戻します。
 
 これで、不具合(電池食い)の原因は解消されたわけです。
 

 しかし、この際スピーカ不良の原因にもなるスプリングは除去して、イヤホン改造で実績のあるハンダ付け(半田付け)による恒久修理とすることにしました。
 

 【スピーカの半田付け】
スプリング切断 切断面を曲げる 半田付け
エポキシ接着剤 スピーカにリード線を半田付け スピーカをはめ込む
 (1)スピーカへの信号供給スプリングを切断する。
 (2)切断部を曲げて丸くする。
 (3)スピーカと切断部とをリード線で接続する。 
   リード(引き出し)線は、長めの方が作業性が良い。 また、スピーカ中心部は金属では無く、導電性被膜なので、半田付け後引っ張ると剥(は)がれる恐れがあります。
 (4)半田付け部が容易に取れないよう、エポキシ接着剤で被膜する。
 (5)スピーカを元の位置に戻す。
  プラスティックリベットの支柱にカチリと填(はま)るように戻せます。
 スピーカ作動テスト 最終的な固定
 その後、音が出ることを確認し、 最終的な固定をプラリペアで行って完了です。

 今回は、スピーカの短絡が、電源OFF(オフ)時の異常電流につながるという、新たな経験を報告できました。

 2009.10.11


めーる

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