しかし、カバー(底蓋)を開けて再度測定すると、今度は電流が0.2[mA]ミリアンペアであり、2MBのメモリを搭載した個体の正常な値です。
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底蓋の中を詳細に点検してみましたが、スピーカ(発音体)に、浮きがある程度で、電池食いの原因になるとは思えません。
アルミのシールドが、どこかに短絡するのだろうかと、点検してみたものの、異常ありません。
だいたい、基板を交換しても同じということは、非常に再現性が高いということであり、わずかな接触で異常値が出る場合とは状況が異なります。
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まさかとは思いましたが、スピーカラインの抵抗値を測定してみたところ、10[Ω]オームしかありません。
このスピーカは、いわゆるセラミックスピーカであり、巻き線は無いので、通常は高抵抗のはずです。
10オームの値は異常です。
しかし、それがどう電池食いに結びつくのか合点がゆきません。
そこで、基板側のスピーカ接点をピンセットで短絡させてみたところ、15.1[mA]という異常値が再現できました。
これでスピーカ側の短絡が電池食い(異常な電池の消耗)の原因であることが確定しました。
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しかし、スピーカが短絡していた経験もありません。
どんな具合だろうかと、スピーカを外します。
(スピーカを止めるリベット(止め鋲)の頭部(溶かした部分)は、マイナスドライバで簡単に取れます。)
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スピーカを開くと、短絡の原因がすぐに判明しました。
セラミックスピーカへの給電端であるスプリング同士がショートしていたためでした。
(スピーカが浮いている状態で、内部で動いてしまったのでしょう。)
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給電端のスプリングは、本来突起部に挿入されていて、動かないようになっています。
これを、元の突起部に戻します。
これで、不具合(電池食い)の原因は解消されたわけです。
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しかし、この際スピーカ不良の原因にもなるスプリングは除去して、イヤホン改造で実績のあるハンダ付け(半田付け)による恒久修理とすることにしました。
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【スピーカの半田付け】 |
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(1)スピーカへの信号供給スプリングを切断する。
(2)切断部を曲げて丸くする。
(3)スピーカと切断部とをリード線で接続する。
リード(引き出し)線は、長めの方が作業性が良い。 また、スピーカ中心部は金属では無く、導電性被膜なので、半田付け後引っ張ると剥(は)がれる恐れがあります。
(4)半田付け部が容易に取れないよう、エポキシ接着剤で被膜する。
(5)スピーカを元の位置に戻す。
プラスティックリベットの支柱にカチリと填(はま)るように戻せます。 |
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その後、音が出ることを確認し、 最終的な固定をプラリペアで行って完了です。
今回は、スピーカの短絡が、電源OFF(オフ)時の異常電流につながるという、新たな経験を報告できました。
2009.10.11
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