|
抜け(縦白抜け)は、この写真ではData baseのアイコンの左右に、1本づつ、計2本あることがわかります。
もっとも、アイコンの位置は自由に入れ替えることができますので、液晶における抜けの絶対的な位置を示しているわけではありません。
中央の写真は、抜けの部分の拡大です。
写真内の液晶の上にある基板は、別の液晶のガラス面を外したものであり、基板の内面が見えています。
基板の内面の、パターン(配線)を見ることで、抜けを担当するはずの表示用LSIを特定できます。
写真からは、左から3列目のLSI(上下2個)が、アイコン付近を担当していることがわかります。
そこで、とりあえず再度、LSIの足の半田を確認します。
前回、LSIと、パターンには問題無いことを確認していましたので、今回も異常はありません。
|
|
次の段階として、ゼブラゴム部の不具合を追求します。
金枠を外し、最初に下側を押さえてみました。
すると、表示は簾(すだれ)状に表示されます。
表示LSIは、縦の列を交互に担当(表示制御)するので、下側は、LSI、ゼブラゴム、液晶ガラス面、すべて正常ということになります。
|
|
次に、上方のゼブラゴム部を押さえてみます。
すると、簾状の表示内に、不具合の状況が再現されました。
つまり、上側の回路を受け持つ、基板側(表示LSI、ゼブラゴムまでの配線)ゼブラゴム、液晶ガラスそのものの、いずれかが悪いことがわかります。
|
|
さらに不具合部を特定するために、液晶ガラスだけを左に動かします。
(右端でフレキと接続していますので、5mm程度を動かすことができます。)
すると、抜けが移動しました。 左側の抜けは、アイコンから離れ、右側の抜けも内側に寄っています。
これにより、不具合部は液晶ガラス側ということになります。
|
|
再確認です。 今度はガラス面のみを右へ動かします。 すると、抜けの部分も右へ移動しました。
もし、基板側が悪ければ、液晶ガラスを動かしても抜けの位置は変化しません。
これにより、不具合部は、ガラス面にあることがわかります。
|
|
|
今回も、ゼブラゴムを切って、中央の導電部を液晶面側に近づけます。
極限まで、近づけるために、広範囲にわたりカッティング(切断)します。
そうして、上側を押さえてみたところ、1本は消えました。 しかし、右側の抜けが消えません。
1本消えたということは、間違いなくこの部分に不具合があるわけです。
|
|
|
|
顕微鏡で、不具合部周辺を観察しますが、電極は綺麗に見えています。(光の加減で、青く見えます。)
今回は、さらに液晶側を観察すべく、デザインカッターで探りを入れました。
すると、液晶の張り合わせ部(液晶材料の封止部)に、接着剤がはみ出したような、残留があることに気づきました。
この部分を削ると、0.5mm程度の隠れていた電極が現れ、一部に欠けのような部分があることを発見。(写真は撮れず)
|
|
|
接着剤の残留部を、広範囲にわたり除去し、ゼブラゴム(シマウマ模様のゴム)の導電部を極限まで表示部側に密着させました。
これにより、ゼブラゴムが電極の欠け部に達したのでしょう、導通が復活し抜けは完全に消えました。
なぜ、液晶ガラス面の導電部(しかも接着剤層に隠れていた部分)に欠損が生じたかは不明です。 普通は部品(液晶)を交換してしまうので、めったに追求しないような不具合ではないかと思います。
本機(hp200LX)のような、すでに耐用年数が過ぎた機器の特有の不具合かもしれません。、
以上 参考になれば幸いです。
2009.10.09
|
|