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 hp200LX 修理例:表示乱れの原因は、腐食による液晶内配線断線。
 hp200LX Repair: Cause of display distortion is wiring cut of board pattern in liquid crystal by corrosion.)
 
 液晶の表示不具合なのですが、珍しい例です。

 原因は液晶側の基板のパターン(印刷配線)が、腐食により断線していたためでした。

 しかし、良く見ないとなかなかわからない例です。

 液晶基板の配線を追う過程で、いろいろな繋(つな)がりが解り、自分にとっては今後の修理の参考となる故障例でした。

 

乱れた表示 表示は、今までに見た乱れとは少し異なるように見えます。

 二重に重なっているようでもあり、ちょうど倍速改造機にドライバが当てられていないときのようでもあります。

 しかし、この写真は標準速のテスト機での動作ですので、ドライバの問題ではありません。

 

 
 最初に裏面のIC(LSI)の半田不良を確認しましたが、問題ありません。 

 非常に綺麗に半田付けされており、液晶が分解されたような形跡もありません。
 
ICを交換する とりあえず、確認(故障切り分け)のために、簡単にできることとして、基板中央のICを換えてみました。

 しかし、表示には変化がありません。

 

液晶内部の腐食部腐食部拡大
 次に液晶の金枠を外し、液晶ガラスを開いて内部を点検しましたが、問題ないように見えました。

 しかし、ごく一部に点のような緑色物質(黄色矢印)があり、顕微鏡で拡大してみると、腐食であることがわかります。

腐食部腐食部拡大
 腐食は、液晶の裏面(外部)の対称箇所にも発生しており、おそらく外部(裏面)から、内部へ腐食させる物質が付着侵入したのでしょう。

 
腐食を取ってみるスルーホールを広げてみる
 腐食部を少し削ると、まだ液体が存在していることが確認できました。(写真左)

 さらに広げると、腐食は内部まで相当進行しています。

 この部分は、スルーホール(貫通電極孔、Thru-hole)であり、どこかと接触しているわけですが、周りにはパターン(銅配線)が見えません。

 ということは、積層基板の見えない層にある電極(電線パターン)と接続する部分です。
 
 それが腐食しているということで、見えない部分で断線(腐食)してしまったという予想ができます。

 

切れた部分を迂回させる
 断線が原因であると想定できれば、あとは機械的に接続を確認してゆけば不良点を発見できるわけです。

 テスターで導通を探ってゆくと、裏面の8つのIC(LSI)は、基本的に、並列に接続されている部分が多いことがわかり、腐食部分の電極は、隣のIC(LSI)と接続していないことがすぐにわかりました。

 そこで、切れた部分を細線で迂回(ジャンプ、バイパス)させてみました。
 
 また、周囲に異常な短絡や絶縁不良が無いことも確認します。
 
 これで、配線上は正常になったと思われます。
 
正常に戻った表示  液晶テスタに載せてみると、最初の乱れが嘘のように消え、正常になっていました。

 「おおっ」と、思わず声がでます。

 大きな腐食がないと、問題ないと思ってしまいますが、まさに今回はピンポイントで動作に影響する腐食が生じていた例です。

 2010.07.10

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