hp200LXを使用していると、いろいろな個所が割れてきます。
製造後20年にもなるので、プラスティック(樹脂)に対しては当然ともいえます。
おそらく設計上の耐用年数を過ぎているのだと思います。
それでも、hp200LXよりさらに古いhp100LXの方が割れが少ないので、青っぽい筐体になって、経年劣化が進みやすい材質になったのかもしれません。
割れる部分は、決まっています。
要するに、応力がかかっている部分です。
押されたり、曲げられたり、引っ張られたりしている部分です。
応力がかかっている部分が、長年によって生ずる疲労と硬化によって、あるとき突然割れます。
大事にしまっているhp200LXでも、保存中に割れが入ることがあります。
「BlueSkyさんの提案する金属製のポスト」 We love 200LX. 2011年7月13日 (水) we-love-200lx.cocolog-nifty.com/blogWe love 200LX. (551)200LXの底蓋補修の方法(案) より図を引用 |
BlueSkyさんの提案する金属製のポストがあれば、ネジ部割れの修理が簡単になります。
外部にワッシャーを着けて、長いネジを取り付けて修理としている例もありますが、その場合にはゴム足を入れることができません。
BlueSkyさんの方法であれば、ゴム足を入れることもでき、外観も綺麗にできそうです。
薄い金属で作れば、割れの防止用に使うこともできそうです。
究極はマグネシウム合金などで、筐体を再制作できれば、相当に丈夫なものになるでしょう。
以下は当所による、ネジの固定部分(支柱、ポスト部)の修理例です。
この修理は、相当に強度(粘り)が高く、すでに1年半程度様子を見ていますが、再発(再度の割れ)はありません。
当面この修理法で対処して行きたいと思います。
(1) |
(2) |
(3) |
上の写真は、ネジポスト(筐体右奥)です。 分解したばかりです。 外観上、円周上にわずかな割れが入っていることがわかります。(1) このネジ穴にピンセットを入れて軽く曲げると、上部が取れてしまいました。(2) 通常(新しいうち)は、この程度では全く割れが入ることはありません。 目には見えない割れ(crack)が進行していたものと思われます。 この場合の割れ部はギザギザです(3)が、きれいに水平面で取れてくることも良くあります。 |
||
(4) |
(5) |
(6) |
修理を行うに際し、事前に新品の筐体から、ネジ部の型(かた)を取っておきます。(5) 型取り君(4)は、お湯で柔らかくなり、細かい型を綺麗に取ることができます。 ネジ部4か所すべての型を取ってあります。(6) |
||
(7) |
(8) |
(9) |
割れた部分に型を挿入するわけですが、最初に水を付着させておきます。(7) これは、プラリペア液が型から流れ出ることを防止するものです。 液体を液体でブロックして、浸透を阻止するわけです。 挿入した型をポスト側から見た写真が(8)です。 ここで、露出した型の部分の外側にプラリペア(造形材)が盛られるわけですので、露出が少ないときは、ポストの残存部を削ったり切除したりして調整します。 次に、ワッシャー(座金)を載せます。(9) この突起部が、ネジ穴の外径になります。 ワッシャー外径4mm、内径2mm、厚さ0.3mm |
||
(10) |
(11) |
(12) |
ワッシャーから連なる補強線材を作成します。(10) 0.3mmピアノ線 作成する線材は、2本を机の脚のように配置させます。 端部(切断部)は、楔(くさび)のように曲げてあります。(11)(12) |
||
(13) |
(14) |
(15) |
あとは、普通にプラリペアの粉をふり掛け、液を垂(た)らします。(13)(14) かたまらないうちに外径を整えます。(15) これは、基盤が微妙に当たってしまうからです。 |
||
(16) |
(17) |
(18) |
同様に、固まらないうちにナット(受けネジ)部をかぶせて、フィット(整形)させます。(16)(17) ここでは、ジャンクから切り取った部分を使っていますが、本体に仮合わせすれば良いです。 この段階で型(かた)を外します。 ネジ穴からはワッシャーの一部が見えます。(18) |
||
(19) |
(20) |
(21) |
造形剤(プラリペア)が固まった後に、ネジ(screw)用の穴を開けます。 ここでは、1.2mmのドリル(プリンター補充インキに付属していたもの)を使っていますが、ワッシャーの内径以内のもので、適当に開ければ大丈夫です。(19)(20) 基盤側で当たって問題になる部分は、外部電源用ジャックです。 ジャック外部には余裕がありますので、カッター等で削り(trim)ます。 これで補修は完了です。 |
||
(22) |
(23) |
(24) |
参考に、筐体左上のネジ部の補修状況を示します。(22)(23) プラリペア液が内側から外側へ浸透した場合には、外観が白く変色します。(24) この際には、軽く削る(こする)か、アクリルサンデー接着剤を綿棒につけてふき取るようにすれば目立たなくなります。 (2011.07.20) PDF |
||