hp200LX修理ホームページLX-REST logo (hp200LX 修理・改造)
 hp200lx 故障例:液晶縦抜け(えきしょうたてぬけ)
液晶の右方に1本(1ドット幅)生じた縦抜け

この故障例は、液晶の右端の縦抜け(白抜け)(縦縞)の例です。

通常の縦抜けは、液晶裏のLSIの半田不良を補修することで直りますが、この例ではLSI下の配線が不良を起こしていたものです。(珍しい例です)

以下は、この縦抜け修理の過程です。
(1)状況確認: 液晶を軽くひねったり、たたいたりして不良部に変化が生ずるかを確認  :変化無し
(2)液晶を取り出し、裏面のLSIの取り付け状況を顕微鏡で確認                 :異常なし
(3)不良部を担当するLSI(大規模集積回路素子)の再半田                   :直らず
   (取り付け状況が良くても接触不良を起こしていることがあり、再半田で直ることがある)
(4)液晶を留める金具を外し、導電ゴム(ゼブラゴム)の洗浄、取り付け調整          :直らず
(5)内容を表示させたまま、ガラス部をゴム電極と共に軽く左右に動かして様子を見る    :変化無し
   (不良部分の基板に対する絶対位置が変わらないことから、基板部の不良と断定)
(6)液晶の下部の導電ゴムを押さえた際に不良が再現するので、不良LSIは下段のものであると断定
   (縦の表示は1本置きに交互に上段、下段のLSIが表示を担当する。)
(7)下段の該当LSIを外し、詳細確認 (縦方向は4つのLSIが表示の1/4ずつ担当している)
LSIを取り外した基板 取り外したLSIの電極をしらべたところ、変色部を発見
導通テストをしたところオープン(断線)していることを確認

(写真では基板が上下逆になっているので、写真上方が下段になる) 
断線部分の詳細 変色は、ごくわずかなものですが、アルコールを用いても容易に取れないため、腐食のように見える。


(8)断線部分をバイパスするように、引き出し線を取り付ける
断線部をバイパスさせるように引き出し線を設ける 断線しているランド(LSIの足が載る部分。右から5番目)を辿(たど)って、接続するスルーホール部(貫通電極孔)を確認。
ここから細い絶縁線を使って、引き出し線を設ける。

(9)外していた LSI を再取り付けし、引き出し線(バイパス線)を取り付ける。
最終的にLSIを戻し、バイパス線を取り付ける 不良を起こしていたランド部をバイパスするように、引き出し線を取り付ける。
(尚、この写真は、バイパスする際に間違えて6番目に半田付けしてしまったものです。 事後の表示確認では気が付かず、写真をまとめていて発見しました。 
この場合、小さなフォントなどが歪んで表示されるようになるなどの不具合が予想されます。
本来200LXに備えられた表示テストを行えば発見できるのですが、倍速水晶が取り付いていたため、テストができない個体でした。)

(10)これで表示良好になりました。
 
他の同様な不良例 上記例は、希な事例かと思っていましたが、ほぼ同様の例がありました。
このときも一連のトラブルシュート(故障切り分け)過程を経て基板の不良にたどりつきました。
(やはりIC剥がしは最後になります。)

当初わずかにゴミ状の物質が足の間から見えていました。
横線の場合には信号の有無によって、あるていど基板の不良を特定できますが、縦線(抜け)の場合には、信号を測れません)(ゼブラゴムを外した端子から測定しようと思えばできないこともありませんが、作動させながらの測定は困難です。)

2件同様の例があったということは、希な例とは言えなくなりました。
液体の侵入(特に電池の液漏れ)は大敵です。
(2007.01.06)

めーる

閉じる

All Rights Reserved, Copyright © Yazawa Kiyoshi 2003