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 hp200LX 故障例 :内蔵時計が狂う(遅れる)
(hp200LX :Time lag of an internal clock )
200LXには、時計が付いています。

 時計と書くと違和感があるかもしれません。

 時計というのは、時計用水晶振動子(クオーツクリスタル、crystal)のことです。

 シスマネ(内蔵ソフト)上のAPPOINT BOOKを開くと、右上に日付と時刻とが表示されています。 

 この日時を計時している基準が、時計用水晶です。
内蔵時計表示(写真:シスマネでの時計)
 

 今回は、この時計が狂う(遅れる)場合の対処です。

 結論を言えば、水晶(基準)を交換することで直ります。 
 交換する以外に手だてが無いとも言えます。

 この際に、より精度の良い水晶に交換することで、時計としての200LXも、その精度が上がります。

 私は、hp200LXを時計代わりにしている一人です。
 純DOS(DOSでの起動)でVZエディタ(テキスト入力専用のエディタソフト)を使用しており、atclockを使用して、常に右上に時計が表示されるようにしています。
  atclock.com フリーソフト作者:関谷博之さん vectorへのリンク


DOSで作動させるVZエディタでの時計表示(写真:DOSで常時表示させる時計)
 
 それで、電源を入れれば、時計がすぐに現れるわけです。

 また文章作成中に日付、時間をファンクションキーで挿入する際にも、時計(計時信号)が使われます。

 あるときから、この時計が1日で1分程度遅れるようになってきました。
 
 気が付いたときに DOSのTIME コマンドで修正しているのですが、いつのまにか5分も狂っていて、電車に乗り遅れるところでした。



 交換するための時計用水晶は、秋葉原ですぐに見つかりました。

 時計用水晶は腕時計、目覚まし時計、壁掛け時計、万歩計など、あらゆる時計に使用されているので、流通量が多いのでしょう。  注:万歩計は、山佐時計計器(株)の登録商標第1728037号です。
基板に取り付けられた時計用水晶と、市販の水晶(写真:基板上の時計用水晶と、買ってきた温度補正付き時計用水晶)

 時計用水晶の発振周波数は32.768KHzという、非常に低い領域です。これは超音波ですね。
 その中で発振精度の高い水晶があったので、これを試してみました。

  CFS308 シチズン 32.768K  偏差+-20PPM (100円 千石電商)

 この水晶(水晶振動子)は、温度特性の異なる水晶を組み合わせて、誤差を打ち消しあうように設計されているとのことです。

  スペック(規格)を示す他社ページへのリンク  http://www.allspectrum.com/semiconductors/cfs206/ks-cfs.pdf 

  
 どの程度正確なのかを、周波数カウンタ(周波数測定器)で調べて見ましたが、予想した32.7680Khzが表示されません。 32.7649 32.7669などの測定値になります。
 周波数カウンタで測定する。 (写真:水晶の発信周波数測定値)

 周波数カウンタの精度が悪いのかとも考えましたが、いろいろ調べてみたところ、次のようなことがわかりました。
 
1) 1pf(ピコファラド)以上の入力容量を持つPROBE(測定子)を用いると、発振周波数に影響を与え正確に測定できない。 (正確な値が得られない)

 0.1pf以下の低容量プローブが必要という別サイトの情報 http://www.tamadevice.co.jp/pdf/32.768KHz-osc-circuit(revA).pdf

 このプローブ(低容量)は、入手できておらず、現在のところ正確な周波数測定ができません。

2) 32.768KHzとしているのは、正確な1秒を得やすいため。
 
教えてgoo!より引用 http://oshiete1.goo.ne.jp/qa1710990.html
   時計の電子回路はカウンターを持ちクォーツの32768Hzの信号でカウントアップしていきます。
一秒間カウントアップしていくと32768、二進数で1000000000000000になります。
この瞬間に時計の時刻を一秒進めて、今までカウントアップしてきたものをリセットしてまたカウントを繰り返すことで時間を管理しています
  引用終わり

 つまり、
32768 HZを
半分に分周 32768/2
= 16384
半分に分周 32768/2/2
= 8192
  |
 途中省略
  |
半分に分周 32768/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2
= 2
半分に分周 32768/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2/2
= 1
 ということで、15回分周してゆくことで正確な1秒が得られる。
 分周は電子回路の得意とするところ。
 この程度の発振分周が最も電力の消耗を押さえられる。 

3) 温度25度のときが最も正確であり、これより温度が上がっても、下がっても発振周波数は低下する(時計は遅れる)。
 リンク:http://www.tamadevice.co.jp/32768-temp.htm 音叉型水晶振動子の温度特性カーブ
 
 結局のところ、発振周波数(時計の精度)は水晶の精度によるところが大きい。
 周波数調整も若干はできるようであるが、なにより正確な周波数を読むことが難しい。

 そのようなわけで、時計が狂った場合には、素直に水晶振動子を換えることが良いようです。


 200LXの時計としての精度を実際に測定してみました。

 (比較に用いたのは、電波時計です。 WEBではもっと正確な時刻を入手することができますが、比べてみたところ電波時計と同じでした。 わすかな誤差は見た目では判別できないため。)
 
 (パソコン時刻合わせ用WEBツール EZe-timing 無償ソフトで、たいへん使いやすいです。)

 その結果、水晶を換えた200LXは、1ヶ月で約25秒の遅れ、 普通の200LXでも約30秒の遅れでした。
 時計としては十分な精度を持っているということです。

 ちなみに、時計合わせ(時刻調整)は、DOSのTIMEコマンドでは1/100秒まで設定できます。
 (押すタイミングで1/10秒程度は変わるので、そこまで設定できても無意味ですが)

 電波時計は、一日に1回から数回、電波を受けて調整しているので正確ですが、電波が受からなければ、200LXと同様な時計精度と言えます。

 つまり、一日一回調整すれば、200LXの時計は電波時計と同じ精度です。
 1分以内の誤差を許せるのでしたら、2ヶ月に一度調整すれば十分です。

 タイムコマンドで時刻を調整(写真:DOSのTIME commandで時計を調整)

 dosのtimeコマンドでの設定例 : 午後1時21分30秒に設定するとき。
 
  C:>time 13:21:30   Enter


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 2009.07.29 電子タイムスタンプ

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