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 hp200lx (フレキの断線修理)()

200LXの液晶表示が乱れる原因の一つとして、フレキの断線(または高抵抗)があります。
表示不具合は、液晶の開閉時に限られないので、意外に特定が難しいです。

(フレキとはflexible cable のことで、基板と液晶とを電気的に接続する電線パターン(印刷電線、プリント配線)です。
液晶は開閉するため、配線は折り曲げに耐えられるれるようにする必要があり、フレキによって捩(よじ)れることで、柔軟性(折り曲げ構造)を得るように構成されています。

ここでは、断線したフレキの修復過程を示します。
フレキの断線を確認
不思議なことに、断線は同じ部分で起こります。 (写真の左側電極の上から二番目と、右下電極の右から二番目とを結ぶ部分)
おそらく曲げによる応力が集中して、印刷電線の一部が途絶えるものと思われます。

テスターで測定して、他の部分より抵抗が大きいとき(5オーム程度)は断線過程にありますので、早めにバイパスさせた方が良いです。
この断線による特有の表示 この部分が断線すると、左のように規則的な縦線が液晶全面に渡って現れます。
断線は、液晶を特定の角度に置いた時にだけ起こることもあり、時々一瞬あらわれることもあります。
断線部分をバイパスさせるために被服を削る
断線部は、フレキを顕微鏡で詳細に点検しても全くわかりません。
ただし、筒の中に収まる直線部分のパターンは細くなっており、この間で断線していることは確かなので、これをバイパス(ジャンプ)することで、導通は復帰します。

まず、ジャンパーを接続する部分を削り、半田します。
バイパス用の電線を半田付けする
次にジャンパー線を接続します。
ジャンパー線は、ちょうどフレキの印刷パターンが細くなる直前の太い印刷配線部分に半田付けします。
バイパス線の反対部(終端) ジャンパー線の反対側(終端部分)も、印刷配線が太くなる部分に半田付けします。
バイパス線を保護するためにテープを貼る ジャンパー線は、フレキの印刷配線と一体化するようにテープで固定してゆきます。(カプトンテープが良好です。)
修理後のフレキ全容 修復(バイパス)後のフレキです。
導通検査をして修理完了とします。
 
2箇所の切断個所があった例 これは別の例ですが、上述の断線個所の隣も切れており、合計2箇所が切れていました。

2箇所断線した場合の表示
断線が二箇所の場合、左のように真っ黒(青)な表示になります。
やはり液晶を傾けると時々発生します。
一瞬発生するだけでも気になるものです。
この現象も、フレキのバイパス後には全く生じません。
(2006.06.10)
 
 注:この青表示の原因は、ほとんどが液晶裏コネクタの接触不良です。 スポンジの交換をしても直らないような場合に、次なる原因として考えられます。
 (2010.08追記)


基板への接続部が切れている これはフレキの切れの別の例です。
基板への先端部がはさみで切ったように横に切れています。
これは、コネクタに挿入された状態(通常の使用)で、落下させ、本体がパカッと開いてしまった際に、基板が動き、無理な力が加わったものです。
落下で開く際に、ネジの台座が割れたためです。
接続部の修理後 これは、上記の切れた部分を補修したものです。
細い線を半田付けし、表面をヤスリで平らにします。
非常に柔らかいので、ヤスリがけは軽く行います。

裏にはカプトンテープ等を貼ります。

これで各ピン(端子パターン)の導通は良好になります。
また各ピン間の絶縁も良好です。
(2006.12.21)
裏面の銅とショート しかし、まだ修理の抜けがありました。
実はフレキの裏面には薄銅が貼られており、フレキの切り口の修理の際に使用したハンダが、裏面に回り、表面のピンの一本と導通(ショート)しておりました。
これにより、基板を接続しても動作確認ができませんでした。
(乱れた模様が出る。)
薄銅面はグランド(接地)に接続されており、電磁シールドの役目を持っています。
裏面の銅を一部取り除く
そこで、切断部(切り口)の周囲の薄銅面を削り取りました。
これにより、表面のピン(端子パターン)とのショートが解消し、表示も正常になりました。
この作業(薄銅剥(は)がし)は、カッター等の刃がすぐに表面に達してしまうので、難易度が高い作業です。
(2006.12.22)
他の修理例
・リボンケーブルとも言います。
 ribbon cable

めーる

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