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hp200LX修理:液晶表示不良の原因である半田不良は、なぜ生ずるか。
 hp200LX: Investigated the bad display which occurs by means of the solder crack which an integrated circuit did not operate.
 
 液晶の表示不良は、200LXの故障原因に相当な割合を占めます。
 中でも、液晶裏のICの半田が割れて、ICの足(電極)が浮く現象が良く生じます。
 
 今回は、何度も同じ現象が生ずる個体を修理する過程で、半田が割れる原因を探りました。
 
乱れた表示
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乱れた表示です。
本来、左側のリスト表示だけなのですが、エコー(ゴースト)のように不完全な表示が右方向に現れています。
 
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表示不良の原因は、左側ICの足が浮いていたためです。
(写真の赤枠で示す部分の半田付けが割れて、足(電極・端子)が動く状態でした。)
この現象は、1年半のうちに2度生じています。
つまり、短時間で同じ現象による症状を示したわけです。
   
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 前回の修理は、2ヶ月前でした。
良くある半田部の酸化のために、強度を得られないのだろうと考え、今回は細線を沿わせて強度を増します。
   しかし、これほど頻繁に同じ不良が生ずることは珍しいです。
そこで、少し調査してみました。
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 液晶を枠に組み込む前に、見比べてみました。
すると、液晶の枠内のシールド板に、ICが当たっ(接触し)た跡が残っています。
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 跡(痕跡)は、相当に強く残っています。
特に、エッジ(端)部は、くっきりと形状がわかります。
物理的に接触していたことは明らかです。
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 シールドにある四角い穴は、頭の高いICの接触を防ぐために設けられています。
液晶枠(カバー)内部には、窪みまで作って接触を弱めています。
四角いICの場合には、頭が低く、当らない設計としたのでしょう。
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 驚いたことに、シールド板の反対側にまで接触痕が残り、枠体(樹脂)に、シールド板のアルミニウムが削れて付いた跡までできています。

 足が浮いていたICは、筐体と、シールド板による相当な圧力で押さえられていたということになります。
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 ICの当る部分を空けれは、圧力は減らせるはずです。
一部を切り取ってみました。
しかし、今度は切り口がICの足に接触する恐れがあります。
また、開放部が増えれば、シールドの役を果たさなくなるでしょう。
不要な電磁波を外部へ放出したり、逆に外部の電磁波の影響を受けて誤作動する原因になるかもしれません。

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 ちなみに、シールドの基板側には、厚めの透明シート(樹脂)が貼られているため、電気的には絶縁されています。
   
   
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シールド板のみを調べてみると、接触跡のあるもの、無いもの、表のみにあるもの等、一様ではありません。
個体によって、圧力が微妙に違うということかもしれません。
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また、若干薄いものがあり、10円玉を錘にして置くと、曲がりが激しくなります。
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厚みの測定は、柔らかいので難しいです。 
今回は、ICの足の強度を高め、薄いシールドを使って圧力を低下させたことにより、再発防止に効果が出るのではないかと考えています。
 2012.05.02 
 
 
 
 散歩していたらひらめきました。
 IC上部の隙間が個体によってなぜ異(こと)なるのか!
    ICの上部までの厚み200LXの液晶基板
 
 ICの上部ばかり考えていましたが、ICの頭部は基準点(基板の裏)から考えると、取り付けのための半田も関係するわけです。

半田の取り付け方による厚みの違い液晶基板におけるICの取り付け状態を示す断面図
 
 つまり、ICの足の下に半田層がある場合、最低限の厚み「d」が、「d1」にまで増加するわけです。
IC頭部への圧力は、すべて足の半田が受ける
 ここで、ICの上部から圧力を加えられた場合、その圧力はすべて足の半田層が負担することになります。
 半田は弾性をほとんど持たないため、数回の圧力の繰り返しで簡単に割れてしまうでしょう。
 つまり、電気的に接触不良になります。
 
 すでに、現物が無いので測定できませんが、おそらく若干厚みがあったものと思われます。
 このことは電子回路における常識なのかもしれませんが、通常の基板では上部空間が十分にあるので、どのようにとりつけても、電気的・機械的に問題になることはないでしょう。
 200LXのように痕跡が付くまでに圧せられる可能性のある部分は、ICの底部をしっかりと基板に接触させる必要があるでしょう。
   良好な取り付け 最適なIC(LSI)の取り付け。 ICの底部と液晶基板とが接触し、上部圧力は足(端子・電極)に加わらない。
 
参考:
 厚み「d」の測定 手持ちの液晶で厚み「d」を測定すると、2.1mm~2.2mmでした。
 圧力によって生じたLSI(表示用IC)の割れの例
  
 2012.05.06PDF

参考
 100LXの液晶裏  100LXの一部の機種では、そもそも液晶裏に、ICが配置されていません。
 中央下部のICだけは頭が高いので、シールドの一部に穴が開けられています。
 この場合でも、一つしか穴が無いことに気付きます。
 
 2012.5.13
 
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